おねのむこうADVANCE

おねむこ医学

RICE法(らいすほう)

怪我の急性期に行う基本処置とアイシングのぎもん

RICE法とは?

ぱきった.jpg捻挫や打撲などの怪我をした直後(5〜10分以内)からまず行うべき処置として「RICE法(らいすほう)」というものがあります。
 これは4つの処置の頭文字をとった言葉で、Rest(安静)、Ice(アイシング)、Compression(圧迫)、Elevation(挙上)のことです。怪我の直後から行い(このため病院に行く前にまず自分で行います)、炎症が強い受傷後2〜3日くらいまではこのRICEを継続すると怪我の悪化を防ぐ事ができ、復帰も早くなります。

Rest:安静にする。具体的には、怪我をした場所を動かさない。関節部分の怪我だと日常生活で使わないようにするのが難しいため、副木(シーネ)固定※1してしまうとより局所の安静度が高まる。
Ice:氷のう(砕いた氷+水)を作って局所を冷やす。15分〜20分(感覚がなくなるまで)冷やすことが推奨されている。長時間の冷却や氷を直接皮膚にあてるなどすると凍傷になるので注意。これを約1時間おきに繰り返す(45分のインターバルをあける)。
Compression:局所を適度に圧迫する。市販の着圧サポーターをつけるのもいいし、一番良いのは「弾性包帯」を巻く事。ただし血が止まる位きつく締め上げてはいけないし、腫れてきて痛くなってきたらうっ血している可能性があるので適度に緩める。
Elevation:怪我の部位を心臓より高い位置に挙げる。手なら起きているときは三角巾でつり、寝るときは胸の上に置くといい。足なら横になったときは足枕をしいて高く挙げる。座る時も足を下げず、台などの上に置いて地面と水平にしておく。

なぜRICEがいいのか?
 怪我をすると細胞が壊れ、出血や浮腫(むくみ)がおこります。局所で血の塊ができ、組織がむくむことによって周囲を圧迫し、正常な組織までダメージが広がります。RICEの主な目的はこの出血や浮腫を防ぐことによりそれ以上ダメージを広げないようにする(二次的損傷を防ぐ)ことです。また、冷却によって血管を収縮させて血流を減らす事により、損傷した組織に集まってくるケミカルメディエーター(痛みを引き起こしたり組織を破壊する物質など)の量を減らそうという狙いもあります。更に、組織が冷やされると酸素必要量が減るため、圧迫され低酸素状態になっても組織がダメージを受けにくくなります。RICEの開始は受傷後すぐが基本であり、処置の遅れは復帰の遅れに繋がります。

補足
なお、上記RICE処置は見ての通り、怪我の急性期に血流を少なくしようとするものです。ですから血行が良くなること、飲酒や入浴、激しい運動などはもちろん控えるようにしましょう。

まとめ
怪我をしたらすぐRICE!そして早めに病院へ!

アイシング?クーリング?

02.JPGクライマーが登った後にする”アイシング”やスポーツ選手が試合のインターバルなどに行う”アイシング”。ひとつにアイシングといってもやり方や目的は様々です。ここに今あげたような”アイシング”はRICE法で行う”アイシング”とは似て非なるもの。怪我の処置ではなくコンディショニングのために行うものなので、”クーリング”と言い方を変えたほうが誤解が少なくなるかも知れません。

クーリングとはなにか?
 では、クーリングとはどのような目的のために行われているのでしょうか。まず、スポーツ選手が試合の合間に行うクーリングですが、これは平たく言うと「上がり過ぎた筋温を適温に戻す作業」です。筋肉には最高のパフォーマンスを発揮出来る温度があるため、運動前で筋温が低い状態ではウォームアップを行いますし、激しい運動によって上がり過ぎた場合にはクーリングを行うのが効果的なようです。そのため、この場合のクーリングのポイントは必要以上に筋温を下げすぎないこと。一般に氷で行うよりも5〜10度の冷水を使う方がいいようです。※2
 また、クライマーがジムで目一杯登ったあと、帰る前によくやっているクーリングですが、これをやると翌日の指のむくみが軽かったり疲れがとれてパフォーマンスが上がったりするようです。クライマーに限らず、トレーニング後のクーリングは他のスポーツでも行われています。この場合のクーリングは、主に「神経系の興奮抑制による筋弛緩作用」および「寒冷誘発血管拡張」を目的としているようです。この場合の冷却方法はRICE法と同じ(氷のうで15〜20分。ただし運動後1回でよい)でいいようです。ただしはっきりとしたエビデンスがあるわけではなく、人によっては翌日の身体の重さを自覚することもあるようなので、自分にあった冷却方法を見つける必要があると思います。

神経系の興奮抑制:筋肉には無意識下の筋緊張を調節している「筋紡錘」という神経反射経路があります。また、筋肉の微細な損傷により起こる筋肉痛によっても神経系は興奮し、無駄に筋緊張を上げてしまいます。冷却によってこれら神経系の活動を抑制すれば筋肉の緊張が緩み疲労回復が早まります(これはRICEでも起こる)。
寒冷誘発血管拡張:手や足などの末梢血管に備わっている機能で、長時間冷却されると反射的に血管拡張が起こります。この作用を利用して血行促進をはかり、疲労物質を洗い流そうというものです。これは血流を抑制しようとするRICE法のアイシングとは正反対の作用ということになります(RICEで1時間おきに冷やし続けるのはこのため)。

 なお、怪我をしているけれども様子を見ながら運動を継続している、という状態もあると思います。その場合は少し複雑です。
怪我の慢性期であれば血行は促進した方がよいので、運動中に悪化させたつもりがないなら上に示した効果をねらって”クーリング”ということになりますし、もし運動中に明らかに悪化させたのであれば、また新たな怪我をしたと考えてRICE法を行うべきでしょう。

これらのことを踏まえ、自分の目的に合った効果的な”冷却”を行ってみて下さい!


※1:長期間の固定は関節拘縮につながる為、応急処置として固定をしたらその後すぐ病院へ行き医師の指示に従うこと。
※2:局所を直接冷やすのではなく、頭頚部を冷やして間接的なクーリングをはかるという方法もある。

文責:chippe

inserted by FC2 system